条文の引用・指示の方法って?弁護士が解説

image

 本記事では、条文の引用・指示の方法を、弁護士が解説いたします。法務の参考に、ぜひご覧ください。

目次

条文の構成

 次の3つは、条文の引用・指示の際、前提知識となるため、押さえておくとよいでしょう。

  1. 条文は通常、「条」、「項」又は「号」で構成されている。
  2. 「条」の次が「項」、「項」の次が「号」である。
  3. 「号」を細分化する場合、記号には「イ、ロ、ハ・・」が使われる。

※ 「イ、ロ、ハ・・」を更に細分化する場合は、「(1)、(2)、(3)・・」が使われます。

※ 条文の直前に丸括弧書きで、その条文の見出しを入れることがあります(2以上の条文の共通見出しを入れる場合は、先頭の条文の直前に入れます)。

条文の引用方法

 次の【参考条文1】を引用する際の表記と該当部分の関係は、通常、次表【表記と該当部分】のとおりとなります。

【参考条文1】

(AAA)

第1条 BBBBB。

2 CCCCC。

 一 DDDDD。

 二 EEEEE。

  イ FFFFF。

  ロ GGGGG。

3 HHHHH。ただし、IIIII。

4 JJJJJ。この場合には、KKKKK。

5 LLLLL。MMMMM。NNNNN。

6 OOOOO。PPPPP。QQQQQ。RRRRR。

【表記と該当部分】
スクロールできます
表 記該当部分
第1条の見出し(AAA)
第1条第1項BBBBB。
第1条第2項柱書CCCCC。
第1条第2項第1号DDDDD。
第1条第2項第2号柱書EEEEE。
第1条第2項第2号イFFFFF。
第1条第2項第2号ロGGGGG。
第1条第3項本文HHHHH。
第1条第3項ただし書ただし、IIIII。
第1条第4項前段JJJJJ。
第1条第4項後段この場合には、KKKKK。
第1条第5項前段LLLLL。
第1条第5項中段MMMMM。
第1条第5項後段NNNNN。
第1条第6項第1段OOOOO。
第1条第6項第2段PPPPP。
第1条第6項第3段QQQQQ。
第1条第6項第4段RRRRR。

条文の指示方法

ルール

 条文で他の条文を指示する場合、法令を参考にすると、次表のようなルールがあります。

スクロールできます
No.場 合指示方法
直前に先行する条を全て指示する場合「前条」「前二条」「前三条」「前各条(条数4以上のとき)」
直前に先行する条の一部を指示する場合「前条」「前二条」「前三条」「第・条から前条まで(条数4以上のとき)」
直後に続く条を指示する場合「次条」「次条及び第・条」「次条から第・条まで(条数3以上のとき)」
直前・直後以外の1又は2の条を指示する場合「第・条(条数1のとき)」「第・条及び第・条(条数2のとき)」
直前・直後以外の連続する3以上の条を指示する場合「第・条から第・条まで」

※  及び も同様です。

参考例

 次の【参考条文2】に、上記ルールのNo.1及びNo.2を適用すると、【参考条文3】のように修正することになります。

 それぞれを対比してみると、「前項」「前二項」「前三項」「前各項」「第2項から前条まで」が、それぞれ何項を指しているのか、参考になるかと思います。

【参考条文2】

第1条 AAAAA。

2 第1項の規定にかかわらず、BBBBB。

3 第1項及び第2項の規定にかかわらず、CCCCC。ただし、第2項の場合において、DDDDD。

4 第1項、第2項及び第3項の規定にかかわらず、EEEEE。ただし、第2項及び第3項の場合において、FFFFF。

5 第1項、第2項、第3項及び第4項の規定にかかわらず、GGGGG。ただし、第2項、第3項及び第4項の場合において、HHHHH。

6 第2項、第3項、第4項及び第5項の規定は、IIIII。

【参考条文3】

第1条 AAAAA。

2 前項の規定にかかわらず、BBBBB。

3 前二項の規定にかかわらず、CCCCC。ただし、前項の場合において、DDDDD。

4 前三項の規定にかかわらず、EEEEE。ただし、前二項の場合において、FFFFF。

5 前各項の規定にかかわらず、GGGGG。ただし、前三項の場合において、HHHHH。

6 第2項から前条までの規定は、IIIII。

まとめ

 法務関係の文書を読んだり、書いたりする場合、条項を正確に引用・指示できる力が必要になってきます。上記がその際の参考になれば幸いです。

目次