発信者情報開示命令申立ての裁判管轄は?弁護士が解説

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 本記事では、令和3年改正プロバイダ責任制限法(同4年10月1日施行。以下単に「法」という場合があります。)により新設された発信者情報開示命令申立ての国内裁判管轄について、弁護士が簡単に解説をいたします。インターネット上の権利侵害(誹謗中傷による名誉権侵害、プライバシー侵害、肖像権侵害、特許権侵害、著作権侵害、商標権侵害など)に対し、投稿者特定のご相談を検討される際の参考に、どうぞご覧ください。

目次

一問一答

Q.

発信者情報開示命令の申立て(以下「開示命令事件」といいます。)は、どの裁判所の管轄になりますか。

A.

 原則的には、開示命令事件の相手方となる開示関係役務提供者(コンテンツプロバイダ、アクセスプロバイダ等)の所在地を管轄する地方裁判所が申立て先となります。ただし、日本国内に所在地を有しない海外企業を相手取る場合においては、東京地方裁判所に管轄が認められる場合があります。

 また、原則的に定まる管轄が東日本の場合には東京地方裁判所にも、西日本の場合には大阪地方裁判所にも、それぞれ付加的な管轄(競合管轄)が認められます。

 他方で、特許権等の侵害を理由とする開示命令事件においては、東日本は東京地方裁判所が、西日本は大阪地方裁判所が、それぞれ専属管轄となります。

 さらに、開示命令事件の提供命令により特定した他の開示関係役務提供者を相手方とする開示命令事件は、先行する開示命令事件が係属する地方裁判所が専属管轄となります。

 なお、提供命令及び消去禁止命令は、開示命令事件の付随的事項であるため、当該開示命令事件が係属する裁判所の管轄となります。

【参照条文】

開示命令事件の国内裁判管轄については、法10条が適用されるほか、非訟事件手続法6条、7条、9条及び10条が適用されます。

解説

 インターネット上の投稿は、通常、アクセスプロバイダ(以下「AP」といいます。)が提供する通信設備を経由して、電子掲示板、ブログ、SNSなど、コンテンツプロバイダ(以下「CP」といいます。)が提供する各種サービスに反映されます。そのため、開示命令事件は、まずCPを相手方とし、次にAPを相手方として申立てを行うのが通常です。

 なお、事物管轄(主に第1審裁判所を地方裁判所と簡易裁判所のいずれにするか)については、地方裁判所となります(法10条1〜6項)。

原則的な管轄

質問者さん

企業であるCPを相手方とする開示命令事件の場合、管轄はどうなりますか?

弁護士 伊藤

原則的な管轄は、当該CPの営業所の所在地によって定まるでしょう(法10条1項3号)。例えば、当該CPの主たる営業所が札幌市にあれば、同市を管轄する札幌地方裁判所に申立てを行えます(同号イ)。

質問者さん

CPの主たる営業所が日本国内にない場合は、どうなりますか?

弁護士 伊藤

主たる営業所が日本国内になくても、開示命令事件に関わる業務が中心となっている営業所が日本国内にあれば、当該所在地で管轄が定まるでしょう(同号ロ)。他方で、これも日本国内にないという場合、当該CPの代表者や主たる業務担当者の住所で管轄が定まることになるでしょう(同号柱書の括弧書)。

質問者さん

そのような代表者や主たる業務担当者の住所も日本国内にない場合は、どうなりますか?

弁護士 伊藤

CPはグローバル企業であることも多く、そのようなケースも珍しくはありません。そういったときは、東京地方裁判所に管轄が認められないかどうか検討することになります。ただし、このような場合は、国際裁判管轄(管轄権)に注意する必要があるでしょう。

 相手方が「日本において事業を行う者」であり、開示命令事件が「相手方の日本における業務に関するもの」である場合、日本の裁判所は管轄権を有します(法9条1項3号)。日本語版のウェブサイトを用意し、日本向けにサービスを提供しているような企業で、そのような日本向けのサービスに関する開示命令事件であれば、東京都千代田区を管轄する東京地方裁判所に申立てを行うことができるでしょう(法10条2項発信者情報開示命令事件手続規則1条)。

競合管轄

質問者さん

札幌市に所在するCPを相手方とする開示命令事件の場合、申立て先は札幌地方裁判所だけになるのですか?

弁護士 伊藤

いいえ。札幌地方裁判所に加えて、東京地方裁判所にも申立てを行うことができます(法10条3項1号)。充実した審理を迅速に行うため、開示命令事件については、競合管轄が認められているためです。東日本地域は東京地方裁判所に、西日本地域は大阪地方裁判所に、それぞれ申立てを行うことができます(同項)。

特許権等の侵害を理由とする開示命令事件の専属管轄 

質問者さん

特許権等の侵害を理由とする開示命令事件の場合、管轄はどうなりますか?

弁護士 伊藤

東日本地域は東京地方裁判所が、西日本地域は大阪地方裁判所が、それぞれ専属管轄となります(法10条5項)。

質問者さん

どのような事案が想定されるのですか?

弁護士 伊藤

例えば、特許製品たるプログラム等を不特定多数の者がダウンロードできるようにインターネット上にアップロードしたといったような事案であれば、特許権侵害を理由とする開示命令事件と考えることができ、東京地方裁判所又は大阪地方裁判所に申立てを行う必要が出てくるでしょう。

提供命令を利用した場合における専属管轄

 CPを相手方とする開示命令事件(以下「第1事件」といいます。)における提供命令よって特定したAPを相手方とする開示命令事件(以下「第2事件」といいます。)の場合、第1事件が係属する裁判所が第2事件の専属管轄となります(法10条7項)。ただし、申立ての取下げなどで第1事件の係属裁判所がなくなると、当該裁判所は第2事件の専属管轄とならなくなるので、注意が必要です。

まとめ

 今回は、開示命令事件の国内裁判管轄について、簡単にご紹介いたしました。投稿者特定に関するご相談の参考になれば幸いです。

引用法令

特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律平成十三年法律第百三十七号

(管轄)〔→引用先に戻る

第10条 発信者情報開示命令の申立ては、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

 一 人を相手方とする場合 相手方の住所の所在地(相手方の住所が日本国内にないとき又はその住所が知れないときはその居所の所在地とし、その居所が日本国内にないとき又はその居所が知れないときはその最後の住所の所在地とする。)

 二 大使、公使その他外国に在ってその国の裁判権からの免除を享有する日本人を相手方とする場合において、この項(前号に係る部分に限る。)の規定により管轄が定まらないとき 最高裁判所規則で定める地

 三 法人その他の社団又は財団を相手方とする場合 次のイ又はロに掲げる事務所又は営業所の所在地(当該事務所又は営業所が日本国内にないときは、代表者その他の主たる業務担当者の住所の所在地とする。)

 イ 相手方の主たる事務所又は営業所

 ロ 申立てが相手方の事務所又は営業所(イに掲げるものを除く。)における業務に関するものであるときは、当該事務所又は営業所

2 前条の規定により日本の裁判所が管轄権を有することとなる発信者情報開示命令の申立てについて、前項の規定又は他の法令の規定により管轄裁判所が定まらないときは、当該申立ては、最高裁判所規則で定める地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

3 発信者情報開示命令の申立てについて、前二項の規定により次の各号に掲げる裁判所が管轄権を有することとなる場合には、それぞれ当該各号に定める裁判所にも、当該申立てをすることができる。

 一 東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(東京地方裁判所を除く。) 東京地方裁判所

 二 大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(大阪地方裁判所を除く。) 大阪地方裁判所

4 前三項の規定にかかわらず、発信者情報開示命令の申立ては、当事者が合意で定める地方裁判所の管轄に属する。この場合においては、前条第三項及び第四項の規定を準用する。

5 前各項の規定にかかわらず、特許権、実用新案権、回路配置利用権又はプログラムの著作物についての著作者の権利を侵害されたとする者による当該権利の侵害についての発信者情報開示命令の申立てについて、当該各項の規定により次の各号に掲げる裁判所が管轄権を有することとなる場合には、当該申立ては、それぞれ当該各号に定める裁判所の管轄に専属する。

 一 東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所 東京地方裁判所

 二 大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所 大阪地方裁判所

6 前項第二号に定める裁判所がした発信者情報開示命令事件(同項に規定する権利の侵害に係るものに限る。)についての決定に対する即時抗告は、東京高等裁判所の管轄に専属する。

7 前各項の規定にかかわらず、第十五条第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定による命令により同号イに規定する他の開示関係役務提供者の氏名等情報の提供を受けた者の申立てに係る第一号に掲げる事件は、当該提供を受けた者の申立てに係る第二号に掲げる事件が係属するときは、当該事件が係属する裁判所の管轄に専属する。

 一 当該他の開示関係役務提供者を相手方とする当該提供に係る侵害情報についての発信者情報開示命令事件

 二 当該提供に係る侵害情報についての他の発信者情報開示命令事件

特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律平成十三年法律第百三十七号

(管轄)〔→引用先に戻る

10 発信者情報開示命令の申立ては、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

 一〜二 略

 三 法人その他の社団又は財団を相手方とする場合 次のイ又はロに掲げる事務所又は営業所の所在地(当該事務所又は営業所が日本国内にないときは、代表者その他の主たる業務担当者の住所の所在地とする。)

 イ 相手方の主たる事務所又は営業所

 ロ 申立てが相手方の事務所又は営業所(イに掲げるものを除く。)における業務に関するものであるときは、当該事務所又は営業所

2〜7 略

特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律平成十三年法律第百三十七号

(日本の裁判所の管轄権)〔→引用先に戻る

第9条 裁判所は、発信者情報開示命令の申立てについて、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。

 一 人を相手方とする場合において、次のイからハまでのいずれかに該当するとき。

 イ 相手方の住所又は居所が日本国内にあるとき。

 ロ 相手方の住所及び居所が日本国内にない場合又はその住所及び居所が知れない場合において、当該相手方が申立て前に日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く。)。

 ハ 大使、公使その他外国に在ってその国の裁判権からの免除を享有する日本人を相手方とするとき。

 二 法人その他の社団又は財団を相手方とする場合において、次のイ又はロのいずれかに該当するとき。

 イ 相手方の主たる事務所又は営業所が日本国内にあるとき。

 ロ 相手方の主たる事務所又は営業所が日本国内にない場合において、次の(1)又は(2)のいずれかに該当するとき。

 (1)当該相手方の事務所又は営業所が日本国内にある場合において、申立てが当該事務所又は営業所における業務に関するものであるとき。

 (2)当該相手方の事務所若しくは営業所が日本国内にない場合又はその事務所若しくは営業所の所在地が知れない場合において、代表者その他の主たる業務担当者の住所が日本国内にあるとき。

 三 前二号に掲げるもののほか、日本において事業を行う者(日本において取引を継続してする外国会社(会社法(平成十七年法律第八十六号)第二条第二号に規定する外国会社をいう。)を含む。)を相手方とする場合において、申立てが当該相手方の日本における業務に関するものであるとき。

2〜7 略

特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律平成十三年法律第百三十七号

(管轄)〔→引用先に戻る

10 発信者情報開示命令の申立ては、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

 一 人を相手方とする場合 相手方の住所の所在地(相手方の住所が日本国内にないとき又はその住所が知れないときはその居所の所在地とし、その居所が日本国内にないとき又はその居所が知れないときはその最後の住所の所在地とする。)

 二 大使、公使その他外国に在ってその国の裁判権からの免除を享有する日本人を相手方とする場合において、この項(前号に係る部分に限る。)の規定により管轄が定まらないとき 最高裁判所規則で定める地

 三 法人その他の社団又は財団を相手方とする場合 次のイ又はロに掲げる事務所又は営業所の所在地(当該事務所又は営業所が日本国内にないときは、代表者その他の主たる業務担当者の住所の所在地とする。)

 イ 相手方の主たる事務所又は営業所

 ロ 申立てが相手方の事務所又は営業所(イに掲げるものを除く。)における業務に関するものであるときは、当該事務所又は営業所

2 前条の規定により日本の裁判所が管轄権を有することとなる発信者情報開示命令の申立てについて、前項の規定又は他の法令の規定により管轄裁判所が定まらないときは、当該申立ては、最高裁判所規則で定める地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

3〜7 略

発信者情報開示命令事件手続規則(令和4年3月15日最高裁判所規則第11号)

(管轄裁判所が定まらない場合の裁判籍所在地の指定・法第10条)〔→引用先に戻る

第1条 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成13年法律第137号。以下「法」という。)第10条第1項第2号及び第2項の最高裁判所規則で定める地は、東京都千代田区とする。

特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律平成十三年法律第百三十七号

(管轄)〔→引用先に戻る

10 発信者情報開示命令の申立ては、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

 一 人を相手方とする場合 相手方の住所の所在地(相手方の住所が日本国内にないとき又はその住所が知れないときはその居所の所在地とし、その居所が日本国内にないとき又はその居所が知れないときはその最後の住所の所在地とする。)

 二 大使、公使その他外国に在ってその国の裁判権からの免除を享有する日本人を相手方とする場合において、この項(前号に係る部分に限る。)の規定により管轄が定まらないとき 最高裁判所規則で定める地

 三 法人その他の社団又は財団を相手方とする場合 次のイ又はロに掲げる事務所又は営業所の所在地(当該事務所又は営業所が日本国内にないときは、代表者その他の主たる業務担当者の住所の所在地とする。)

 イ 相手方の主たる事務所又は営業所

 ロ 申立てが相手方の事務所又は営業所(イに掲げるものを除く。)における業務に関するものであるときは、当該事務所又は営業所

2 前条の規定により日本の裁判所が管轄権を有することとなる発信者情報開示命令の申立てについて、前項の規定又は他の法令の規定により管轄裁判所が定まらないときは、当該申立ては、最高裁判所規則で定める地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

3 発信者情報開示命令の申立てについて、前二項の規定により次の各号に掲げる裁判所が管轄権を有することとなる場合には、それぞれ当該各号に定める裁判所にも、当該申立てをすることができる。

 一 東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(東京地方裁判所を除く。) 東京地方裁判所

 二 大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(大阪地方裁判所を除く。) 大阪地方裁判所

4〜7 略

特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律平成十三年法律第百三十七号

(管轄)〔→引用先に戻る

10 発信者情報開示命令の申立ては、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

 一 人を相手方とする場合 相手方の住所の所在地(相手方の住所が日本国内にないとき又はその住所が知れないときはその居所の所在地とし、その居所が日本国内にないとき又はその居所が知れないときはその最後の住所の所在地とする。)

 二 大使、公使その他外国に在ってその国の裁判権からの免除を享有する日本人を相手方とする場合において、この項(前号に係る部分に限る。)の規定により管轄が定まらないとき 最高裁判所規則で定める地

 三 法人その他の社団又は財団を相手方とする場合 次のイ又はロに掲げる事務所又は営業所の所在地(当該事務所又は営業所が日本国内にないときは、代表者その他の主たる業務担当者の住所の所在地とする。)

 イ 相手方の主たる事務所又は営業所

 ロ 申立てが相手方の事務所又は営業所(イに掲げるものを除く。)における業務に関するものであるときは、当該事務所又は営業所

2 前条の規定により日本の裁判所が管轄権を有することとなる発信者情報開示命令の申立てについて、前項の規定又は他の法令の規定により管轄裁判所が定まらないときは、当該申立ては、最高裁判所規則で定める地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

3 発信者情報開示命令の申立てについて、前二項の規定により次の各号に掲げる裁判所が管轄権を有することとなる場合には、それぞれ当該各号に定める裁判所にも、当該申立てをすることができる。

 一 東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(東京地方裁判所を除く。) 東京地方裁判所

 二 大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(大阪地方裁判所を除く。) 大阪地方裁判所

4〜7 略

特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律平成十三年法律第百三十七号

(管轄)〔→引用先に戻る

10 発信者情報開示命令の申立ては、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

 一 人を相手方とする場合 相手方の住所の所在地(相手方の住所が日本国内にないとき又はその住所が知れないときはその居所の所在地とし、その居所が日本国内にないとき又はその居所が知れないときはその最後の住所の所在地とする。)

 二 大使、公使その他外国に在ってその国の裁判権からの免除を享有する日本人を相手方とする場合において、この項(前号に係る部分に限る。)の規定により管轄が定まらないとき 最高裁判所規則で定める地

 三 法人その他の社団又は財団を相手方とする場合 次のイ又はロに掲げる事務所又は営業所の所在地(当該事務所又は営業所が日本国内にないときは、代表者その他の主たる業務担当者の住所の所在地とする。)

 イ 相手方の主たる事務所又は営業所

 ロ 申立てが相手方の事務所又は営業所(イに掲げるものを除く。)における業務に関するものであるときは、当該事務所又は営業所

2 前条の規定により日本の裁判所が管轄権を有することとなる発信者情報開示命令の申立てについて、前項の規定又は他の法令の規定により管轄裁判所が定まらないときは、当該申立ては、最高裁判所規則で定める地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

3 発信者情報開示命令の申立てについて、前二項の規定により次の各号に掲げる裁判所が管轄権を有することとなる場合には、それぞれ当該各号に定める裁判所にも、当該申立てをすることができる。

 一 東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(東京地方裁判所を除く。) 東京地方裁判所

 二 大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(大阪地方裁判所を除く。) 大阪地方裁判所

4 前三項の規定にかかわらず、発信者情報開示命令の申立ては、当事者が合意で定める地方裁判所の管轄に属する。この場合においては、前条第三項及び第四項の規定を準用する。

5 前各項の規定にかかわらず、特許権、実用新案権、回路配置利用権又はプログラムの著作物についての著作者の権利を侵害されたとする者による当該権利の侵害についての発信者情報開示命令の申立てについて、当該各項の規定により次の各号に掲げる裁判所が管轄権を有することとなる場合には、当該申立ては、それぞれ当該各号に定める裁判所の管轄に専属する。

 一 東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所 東京地方裁判所

 二 大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所 大阪地方裁判所

6〜7 略

特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律平成十三年法律第百三十七号

(管轄)〔→引用先に戻る

10 発信者情報開示命令の申立ては、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

 一 人を相手方とする場合 相手方の住所の所在地(相手方の住所が日本国内にないとき又はその住所が知れないときはその居所の所在地とし、その居所が日本国内にないとき又はその居所が知れないときはその最後の住所の所在地とする。)

 二 大使、公使その他外国に在ってその国の裁判権からの免除を享有する日本人を相手方とする場合において、この項(前号に係る部分に限る。)の規定により管轄が定まらないとき 最高裁判所規則で定める地

 三 法人その他の社団又は財団を相手方とする場合 次のイ又はロに掲げる事務所又は営業所の所在地(当該事務所又は営業所が日本国内にないときは、代表者その他の主たる業務担当者の住所の所在地とする。)

 イ 相手方の主たる事務所又は営業所

 ロ 申立てが相手方の事務所又は営業所(イに掲げるものを除く。)における業務に関するものであるときは、当該事務所又は営業所

2 前条の規定により日本の裁判所が管轄権を有することとなる発信者情報開示命令の申立てについて、前項の規定又は他の法令の規定により管轄裁判所が定まらないときは、当該申立ては、最高裁判所規則で定める地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

3 発信者情報開示命令の申立てについて、前二項の規定により次の各号に掲げる裁判所が管轄権を有することとなる場合には、それぞれ当該各号に定める裁判所にも、当該申立てをすることができる。

 一 東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(東京地方裁判所を除く。) 東京地方裁判所

 二 大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(大阪地方裁判所を除く。) 大阪地方裁判所

4 前三項の規定にかかわらず、発信者情報開示命令の申立ては、当事者が合意で定める地方裁判所の管轄に属する。この場合においては、前条第三項及び第四項の規定を準用する。

5 前各項の規定にかかわらず、特許権、実用新案権、回路配置利用権又はプログラムの著作物についての著作者の権利を侵害されたとする者による当該権利の侵害についての発信者情報開示命令の申立てについて、当該各項の規定により次の各号に掲げる裁判所が管轄権を有することとなる場合には、当該申立ては、それぞれ当該各号に定める裁判所の管轄に専属する。

 一 東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所 東京地方裁判所

 二 大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所 大阪地方裁判所

6 前項第二号に定める裁判所がした発信者情報開示命令事件(同項に規定する権利の侵害に係るものに限る。)についての決定に対する即時抗告は、東京高等裁判所の管轄に専属する。

7 前各項の規定にかかわらず、第十五条第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定による命令により同号イに規定する他の開示関係役務提供者の氏名等情報の提供を受けた者の申立てに係る第一号に掲げる事件は、当該提供を受けた者の申立てに係る第二号に掲げる事件が係属するときは、当該事件が係属する裁判所の管轄に専属する。

 一 当該他の開示関係役務提供者を相手方とする当該提供に係る侵害情報についての発信者情報開示命令事件

 二 当該提供に係る侵害情報についての他の発信者情報開示命令事件

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